皆様こんにちは。
5月11日の単行本祭りの際は、お祭りに参加していただいてありがとうございました。
おかげさまで「アッコちゃんは世界一」はAmazonで⭐️135件をいただき、謎の曲はYoutubeだけで総計1000再生を超えて、あと謎の怪文書も1ヶ月で1300のアクセスがありました。嬉しい!
僕一人で始めた謎のイベント(しかも思想が強くて偏ってる…)にこれだけの方が参画してくださった事とても嬉しく思います。
また、暑中お見舞いへの応募もありがとうございました♪
そのうち暑中お見舞いを描く生配信とかできたらいいなと思っておりますので、その節はよろしくお願いいたします。
今回の記事の趣旨
僕は漫画家としてジャンププラスに漫画が初掲載してからそろそろ4年なのですが、やっと、今更、自分が何ができるのか、そして僕の漫画が好きな人はどんな人なのか、その人たちが一体何を見たいのか、これから何をやっていくべきなのかが明確になってきました。
それをまとめて、皆様と共有して、今後の活動の指針にしていこうという趣旨になります。
2023年〜2024年上半期の反省
2023年〜今日までの半年で7冊単行本を出しました。
半年で7冊ですよ。正直なこと言いますね。
仕事、詰めすぎました。
どれくらいヤバかったかというと、届いた献本のコミックビーム(雑誌)を見て「あれ…こんな絵描いたっけ…?」というページがマジでいつも数コマありました。※僕にアシスタントさんはいません。
要するに、寝てなさすぎて日によって記憶が飛んでました。ちなみに僕は漫画家専業ではありません。したがって毎日本当に3時間くらいしか寝ていませんでした。(今もですが…)
僕は漫画家デビューが遅くて、そもそも2020年くらいまで一回もちゃんと漫画を描いた事がなく、なんとか10代、20代でデビューしてる人に追いつきたいと必死でした。
結果的に、本の冊数ではそこそこ追いつく事ができました。
また、「漫画の作り方」「ネームの切り方」「打合せの作法」などについてもようやく新人の域を脱して「最低限の打合せで求められたものを求められているクオリティでお出しできる」状態になった実感があります。
しかし
……とはいえ商業ベースの編集者の方からするとこれは「お前…マジで何喜んでんだ?」という感じの数字しかお出しできませんでした。
申し訳なさがすごいですね。
商業誌って、重版とか出て初めて利益になり始める世界なんですよね。つまり重版がかかっていないような本は赤字になる事が確定している紙を印刷していただいているような状態になります。本当に役立たずです。ごめんね。
しかし作家側からすると、正直「次回作を書かせてもらえて、それを書店の本棚に並べてもらえるならとりあえずはOK」です。
特に僕みたいな「漫画を描いている時間そのものに喜びがある」タイプの作家はそうです。ヒットするかどうかは内心正直どうでもいい…。
ここは作家と出版社の間に巨大な認識の差があります。
しかし、ヒットしないと次回作を描かせてもらえる機会がなくなってしまうので、ここはやはり、取引先様から継続的にお仕事をいただくために次こそちゃんと実績を上げないといけません。
なんで僕の漫画は売れなかったの?
この半年、できる限りの力で一生懸命やってきましたが、本当に反省したのは「読者様は一人一人長い人生のある人間であり、漫画の本質をめちゃくちゃ、ちゃんと見る目がある」ということに気がついていなかったことでした。
はっきり言って、僕の爪が甘かった部分は全て読者様に看破されてました。怖いね。
ところで全然関係ないですが、「セクシー田中さん」の日テレの報告書をご覧になりましたか?作者が何度も「こだわりがある人」であるというような表現をされていましたね。
そう、僕は正直それが恐ろしかったのでした。
まともな一般社会人である編集者や読者に「おこだわりがある人だね」「この作者めんどくさい笑」という顔をされてしまうのが怖すぎて、それを回避しようとしていました。
結論から言うとそれではダメでした。
結果的に今まで出した本の中で一番好評だったのは、僕が最も細部にこだわって、かつ最も人が眉をしかめるであろうめんどくさい内容の漫画しか入っていない短編集です。
「細部へのめんどくさい執着」こそが漫画が人を惹きつける所以だということを僕は今更理解しました。
もちろん、世の中には「売れそうなフォーマットに沿って描いたら、感情をあまり込めずに描いても売れた」というタイプのドライな作家さんもいらっしゃることと思います。
しかし少なくとも、僕は、どうやらそのようなクールな仕事は出来なさそうである、ということがこの半年で死ぬほどよくわかりました。
僕の読者さんが僕に求めているのは泥臭い「おこだわり」があって「めんどくさい」漫画だったというわけです。それに伴って僕も「おこだわり」があって「めんどくさい」作者だという誹りを受けるでしょう。でも、そのようにしか生きられないのだから、もう正直にそのような漫画を描いて生きていくしかございません。
指針がはっきりしてよかったです。
2024年下半期の計画を立てよう
……上記のポイントを踏まえて今後の計画を立てていきたいと思います。
実は僕はいつも常に半年先〜死ぬまでのライフプランを立てて手元に置いています。流石に僕が死ぬまでのプランには皆様付き合いきれないと思いますので、当面2024年末までのプランを書きたいと思います。
①2024年末〜来年にかけて単行本が出せるように原稿を頑張る
②もう一つくらい新作の漫画の企画を考え続ける
③①に合わせて音楽アルバムを出す
④小説を書いてみよう
目標①2024年末〜来年にかけて単行本が出せるように原稿を頑張る
こちらは実は一件進行中準備中の企画があるので楽しみにしていてください。
こちらは僕の絵の原稿になるのですが、やっぱり、絵もまだまだなので、絵のレベルを一段上げたいなと思っています。
最近漫画の絵についてわかった事があり、それは、人間の目にはかなり「クセ」があり、実際は人間は写真とはだいぶん違うものの見方をしている、ということです。
ですのでこれは「絵が上手くなりたい」というより、「実際に人間が見ているときの見え方にできる限り絵を近づけたい」という感覚になります。
これは一コマ一コマyを描くときによく考えながら描くようにすると実現すると思うので、丁寧にやっていきたいと思います。
目標②もう一つくらい新作の漫画の企画を考え続ける
これにあたっても、何か思いつきで漫画を始めるようなことをしてはいけないな、と強く反省したので、半年間くらい、①の仕事をしつつ、次は何をやればもっと面白いものが書けるのかをちゃんと模索したいなと思っています。
具体的には前々からちゃんと見たいと思って積んでいたコンテンツたち…
・虎に翼
・夏目アラタの結婚
・桐野夏生先生の本
・村上春樹先生の本
・古畑任三郎シリーズ
・シグルイ
・萩尾望都先生作品
・クイーンズギャンビット
・私は慎吾
等の長尺のシリーズ作品をしっかり勉強して出直したいなと思っています。
これはシンプルに楽しみでもあります。名作と呼ばれて絶対面白い事が保証されているコンテンツをこれからいっぱい見られるのはシンプルに嬉しいですね!
「他にもこんな面白いコンテンツあるよ!観た方がいいよ!」というおススメなどありましたら、ぜひ教えてください。
目標③音楽アルバム制作
これは普通にただ僕がやりたいだけなんですが……
人生って本当に短いので思いついた瞬間にやらないと死んでしまうのではないかということに最近気がついてしまいました。
また原稿作成のストレスの副産物として曲が勝手に出来上がるようなところもあるので、しまっていても仕方がないのでお出ししていきます。その方が面白いと思うので……。
ですので、恥ずかしいとか、キモいとか、一旦傍に置いておいて、作れるときに作っていきます。
本当はインスタライブをやったり、ピアノを練習したりしたいのですが……それは一日10分くらい毎日指を動かしていこうかなと思います。
継続は力なりです。
また原稿の合間にTwitterに謎の鼻歌とかをUPすると思うので、温かい目で見守ってあげてください。
目標④小説を書いてみよう
今年1年間、漫画をやってわかった事があり、それは「漫画は高度に抽象・構造的な話や人間の深層心理描写をするにはあまり適していないフォーマットなのではないか…」ということでした。
まず、何巻で終わるかが事前にわからない。
人気次第で打ち切りになったり、伸びたりする。
また内容も、人気次第で、登場するキャラクターを変えたりしないといけない。
これは結構、最初の段階で終わりまで構成をゴリゴリに決めておきたい感じの抽象的な物語には向かないフォーマットだな、と思うに至りました。
また、自分が常に文章で物を考えているということもあってか、「文章だったらもう一段深い思索に行けるのに…」と漫画を描いていてフラストレーションがたまる瞬間が何度かありました。
昔、僕は趣味で小説を書いていた時期があり、本を読むのも大好きなのですが、やっぱり思想とかを表明するには文字だけの媒体に分がある瞬間があると思っています。
なので……こちらもコツコツ書いて、何かしらの方法で発表できればと思っています。
以上です。
なんで唐突に年間目標とか出したん?
突然ですが、皆さんはこの世で一番面白いものはなんだと思いますか。
「ひとつなぎの大秘宝(=ワンピース)」みたいにどこかに埋まってると思いますか?
違います。一番この世で面白いのは人間です。
キャラクターは作者の人生からしか出てこない。
キャラクターの面白さは作者の面白さだということです。
漫画というコンテンツは、ほとんどの人は「絵」を見ているのではなく、そこに描かれている作者の「人間性」と「人間性が表出する顔」をみていたのだということに、僕は漫画歴4年目にしてやっと気がつきました。
なので、ある程度漫画が描けるようになった時、必要なことは脚本術の本を読むとか、そういうことではなかったのです。
作者が面白くなる以上に漫画が面白くなる方法ってない。
要するに、僕が漫画を面白くしようと思ったら僕自身の人生を面白くしていくしかないんだ、という結論に至りました。
僕は漫画を売っているのではなく、遠回しに自分の人生を売っているわけです。
おそらくこれは僕だけではなく、どんな漫画を描く人でもそうです。
描く物語、描く人の顔、描く背景にはその人の人生が出てしまうのです。
今回、いつも自分一人のための日記に書いていた年間目標をブログの形にして皆様の目に触れるようにしたのもそのためです。
皆様に僕がどこを目指しているのかをわかっていただいて、応援していただき、背水の陣を敷いてがんばるために他なりません。
皆様には僕の漫画だけでなく、僕がいいものを描こう、面白い音楽作ろうとして必死こいて頑張っている姿そのものもを、エンタメとして楽しんでいただければと思います。
僕は出版社から依頼を受けて漫画を描いているわけですが、冒頭でも申し上げましたが、出版社というのはあくまでも「ヒット作が欲しい取引先様の一つ」です。
つまり、作家性ゴリゴリの僕のヤベェ面白コンテンツをみたいという純粋な欲求を持っているのは、この世で漫画の読者の皆様だけ、
特にこんなブログの端っこまで読んじゃうような少数精鋭の強火読者様、要するにそこのアナタだけ、なのです。
ということで、皆様におかれましては、僕を応援していただけると大変嬉しいです。
応援というのは、具体的には、これから原稿の一部とか、毎日のピアノの練習とか、鼻歌とか、摂取したコンテンツの感想を上げていくと思うので、それにイイネとかしてあげてください。
漫画が出るときにはまた祭りをしますので、どうか参加してあげてください。
みなさんのリアクションあっての、僕の漫画です。
ということで、ここまで読んでいただきありがとうございました。
今日より明日、明日より明後日作るものがより面白くなるように、読者様の心に何年後もずっと残り続ける漫画が描けるように、僕は「面白い」の極北目指して、がんばります!